食べものを値切る。服を値切る。家や車を値切る。いいものをできるだけ安く買い、まるで勝ち誇った顔で、そのことを人に自慢する、もしくは一人優越感に浸る。結構なことだが、そんな消費者を幸せにする値切りにも落とし穴がある。

例えば好きなブランドの新作バッグがどうしても欲しい。でも金はない。値切るしかない。 店側としつこく価格交渉をし、常連客だからということで大幅に値切ることに成功。ルンルン気分でそのバッグを使い出す、のも僅か半年。飽きて新作が欲しくなる。

また例の行きつけの店に出向いたのだが、何やら様子がおかしい。店からは活気が衰え、なんだか商品も全体的に高くなっている。そのうえ『ワゴンセール』に『靴下のつかみ取り』?なんだか急に薄利多売に走ったように上品な店の雰囲気がガタ落ち..。

そうです、犯人はこの中にいる。といってももちろんこの人だけではないのですが、先日新作バッグを驚きの価格で値切ったこの人、あのあと友達に自慢します。そしてこの噂は広まりに広まり、「あの店はチョロい」と値切り客が殺到。今に至るというわけです。

つまり、です。値切れば値切るほどその店の商品の価格は上がり、商品や接客などのクオリティは落ちていってしまうのです。

消費者は『また来たい店』には値切らず、店側は消費者に『また来たい店』にさせれば、やがて商品の質は上がり、価格は安くなる、というわけです。