都会のど真ん中に、格安の鉄道会社ができました。

聞けば、一回100円でどこまでもいけるという。


しかしこの鉄道会社、格安ゆえに全ての駅は駅員のいない無人駅で、格安ゆえに全ての駅に改札機は無く、格安ゆえに防犯カメラもなく警備員もおらず、格安ゆえに電車も持っていません。ウソです、電車は持っています。ちなみに線路も、持っています。

利用者は乗車前に募金箱のような箱に、たった100円、チャリンっと入れるだけです。


『チャリンッ!』






でも、カメラが無ければ . .  警備員もいない . . .  



スルー . . . しますよね? 募金箱。

シャビやピルロ、はたまたデラペーニャのように。





もちろん、彼らがキセルをしているというわけではない。

捕まりませんよ、絶対。誰も見ていないんだから。スルー。全然おかしくありません。普通です。しかし鉄道会社もバカじゃありません。あることをします。


改札を作りました。

駅員と警備員を雇いました。

防犯カメラを設置しました。

そしてそれにかかったぶん、運賃を上げました。



あれ? どっかで聞いたことあるよう . .な . . . 

って、いつもの駅でした。



エゴに任せて行動する人間は、そのエゴに対する欲求が強ければ強いほど、それを失うスピードも特急列車。


エゴを捨てて生きれば、運命は目的地へと走り出す。



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