突然ですが、わたしは水槽に浮かぶ脳です。カラダはありません。

何年も前から、ある科学者に飼われています。


ある日、彼は私を麻酔で眠らして脳を取り出しました。それを培養液の入った水槽に入れ、そしてその脳にコードを差し高性能なコンピュータと繋ぎました。私が飼われる以前の記憶は消されてしまい、代わりに新しい過去の記憶がプログラミングにより入力されました。






え? あり得ない? 映画の見過ぎ?中二病?やかましいわ。

それが、そうじゃないんです。だって、我々の『意識』というのは脳の活動によって生じ、所詮、眼や耳、鼻なんかはただの入力器官に過ぎない。なのでそれに代わる入力信号さえあれば、同じような意識を生み出すのは可能なんです。痛みや感情ももちろん信号化できます。



え? そんなの嫌じゃないのかって?

全然。水槽に浮かんだ醜い姿で、何の実験だか、頭(脳)にコードがいっぱい突き刺さっているとしても、今見ている世界に違いはないのだから。今見えている世界が楽しいんなら、現実かどうかなんて、どうでもいいんです。


私にとったら、信じることこそ見ることで、見ることが信じることではないんです。今見ているもの、例えばそのパソコンやスマートフォン。それの裏側が見えますか? 見えてないですよね? そう、アナタはその裏側があることを見てはいないのです。信じているのです。

信じれば存在するんです。夢でも未来でも。


そういうことです。私は "今" を信じて現実を楽しんでいます。プカプカと。今日も彼からどんな信号が送られてくるのか楽しみに浮かんでいます。プカプカと。それでは、また!



え? わたしは誰なんだって?

名乗るほどのモノじゃありません。











ある科学者です。










どゆこと、どゆこと!
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