特定の利用方法を定めず、多目的に使える部屋、『多目的室』。

学校や公民館などの公共施設、さらに多くの会社やホテルなどにも採用されている部屋である。その利用方法は実に多彩、いや、多目的で、会議や講義に試験、またはダンスやヨガなどのエクササイズにも使われることもある。そんな用途が限定されてない多目的室だが、それゆえにかゆいところに手が届かないことがある。

例えば、多目的室を使ってコンサートを試みる。しかし基本的に防音設備は備え付けておらず、大きな音を出すことは、できなくないが、住宅地近辺ならそれなりの覚悟は必要だろう。映画やカラオケ大会も同じ。また、据え置きのイスはなく、パイプイスか地べたに座ることになる。さらに音響関連もイチから用意が必要で、加えてたいてい部屋自体もそんなに広くなく、収容人数は限られる。

今度は多目的室でスポーツをやる。まず球技は論外。体操や柔道、レスリングも難しい。多目的質の床はたいていカタいのだ。仮にタイルカーペットなら可能ではあるが、そうなると汗水垂らせばやがてカビが生える。それでも実際あまり激しく体を動かさない程度のスポーツをやっているところは少なくないが、同部屋にプロジェクターやピアノなどの高価なものが置いている場合もあり、細心の注意を払わなければならない。

そう、やはり多目的室は多目的であるがゆえに、言うほど多目的ではないのである。