『世界は、実は五分前に始まった。』
かもしれないのである。
あなたの記憶と常識が『ウソつけ!!』『しょうもねぇ!』
と、この仮説を一斉に攻撃し始める。
無理もない。
なぜなら、あなたは 五分以上前の記憶を持っているからだ。
しかし、それはすぐに覆されることだろう。
なぜなら、
ニセの記憶を植え付けられ、五分前に世界が始まった。かもしれないからである。
残念ながら、今あなたが持っている記憶が、あなた自身が築いてきた記憶であるなんて証拠は無い。
五分以上前に本当に世界があったという保証なんてどこにもない。
バカみたい? んなわけない?
でも、こんなにもアホらしい仮説のくせに、
あなたは、この不可能性を証明できない。
パラドックスだ。
世界が始まって僅か2分後に『3分クッキング』を見出したあなたは、つい2分前に『ウルトラマン』が帰っていったあと今まさに食べようとしているその『どん兵衛』に注がれたお湯によってふくらんでゆく『揚げ』とともにこの世に生を授かったのである。
おめでとう。
あなたが産まれてはじめてしたこと、それは、
『分娩室で産声を上げる』ではなく、『どん兵衛のフタを開ける』だ。
天才じゃないか。
さて、
この仮説が意味するもの。
それは、
『あ~ どん兵衛食べたいなぁ~ . . 』
ではなく、
『知識』とは、いったい何なのか? 『知っていること』とは一体なんなのか?
人類の長い歴史も、実際私たちがこの目で見たわけではなく、両親や先生、それにテレビや教科書で『見た•聞いた』だけである。いわば、『カチッ』とダウンロードしただけである。
それを、一切疑いもせず信じ込んでしまってもいいのか?
皮肉にも、真実は疑わなければ浮かび上がってこない。
しかし疑えば、その先には未来が待っている。
『これでいいのか?』
を繰り返し、人は成長していく。
眺めているだけじゃ、
ダメなんだ。
あなたにもきっとできるはず。
目の前の、
大きく成長を遂げたどん兵衛の『揚げ』のように。
世界はうす揚げの如く。