逆 説 幸 福 論

水のように考えること

タグ:論理学

この世のありとあらゆること、なんでもできる全能者。100mを1秒で走ったり、空を飛んだり、天気を自在にコントロールしたり、マナとカナを的確に見分けたり。

しかし、もしそんな人物が本当にいるとすれば、彼 or 彼女は、自分に持ち上げられないほどの重い石を持ち上げることができるのか。

「自分に持ち上げられない」のだから、持ち上げることはできない、しかしそれでは「なんでもできる」ことにならない。それは全能者でもなんでもなく普通のおっちゃんだ。つまり、だ。全能者は『できないということ』が絶対にできないのである。

よって、真に全能な者はこの世に存在しないのである。


 

平穏な村に、突如人喰いワニが現れた。

ワニは子供を人質に取り、その子の母親にこう言った。「おいお前!ガキを喰ってほしくないか?いいだろう。ならオレがいまからすることを当ててみろ。当てたらガキを返してやる。だが!外れたらお前の目の前でムシャムシャと喰ってやる!」 

こいつはてぇへんだ。もちろん母親はあわてふためき取り乱して動揺ののちパニックを起こしている、かと思いきやなぜかニンマリ。あまりのショックで気が狂ったか。いやいや、そうではない。というのも、母親はワニの言葉をしっかりと聞いていた。そしてワニにこう言い返す。

「アナタは子供を食べるでしょ」

へ?まさかのアンサー。やはりオカシくなってしまったのか。かわいそうに。ところが、ワニは子供を目の前にして硬直。その隙に子供は自力で逃げ出すことに成功した。なぜか?なぜワニは固まってしまったのか。

じつをいうと、母親の予想はハズレだった。となればワニは違うことを考えていたので子供を食べていいことになる。しかし!食べようものなら母親の予想はやっぱりアタリ。なのでワニは子供を食べてはいけない。でも食べないのなら母親の予想はハズレ。でも食べたら.. んー、まさにワニワニパニック。結局ワニは子供を食べることも食べないことさえもできなくなってしまったのだ。

矛盾という名の猛獣に喰われたワニくんだったのでした。



19文字以内で記述できない最小の自然数を求めよ。

自然数とは、『0』以外のマイナスや小数点のついていない数字のことで、個数や順番を表す時に使うものだが、でも19文字以内で記述できないんだったら記述できないに決まってるじゃないか、とツッコミを入れたくなる、しかし、実は既に答えは出ている。

19文字以内で記述できない最小の自然数とは『19文字以内で記述できない最小の自然数』である。おわかりだろうか。数字を使って答えよとは一言も言っていない。数字では19文字以内で記述できないが、言葉によってできてしまったのだ。

なぞなぞ?ヘリクツ?確かにそうかもしれない。しかしこれと同じように、多くの場合人は問題を正面からしか見ていない。既に答えは出ているというのに..。


口を開けばうそばっかりのうそつき少年、通称ウソキチくん。

彼はいったいエイプリルフールにどんなウソをつくのか。さぞ壮大なウソをついてくれるのだろうと期待に胸を膨らませる。

そして4月1日、朝。ウソキチくんから電話がかかってきた。ウソキチくんは言います「今日俺はお前たちがビックリするような嘘をついてやる。覚悟しとけよ!」

まさかの嘘つき宣言。ますます期待が高まる。しかし、一時間目、二時間目、お昼休みに放課後..。待てども待てども結局その日ウソキチくんがウソをつくことはありませんでした。

もうお分かりですね。ウソキチくんは既にウソをついていたのです。

と、フリの段階でオチに気づいていた方も多いかと思いますが、まだ話は続きます。

ウソキチくんは「ウソをついてやる」と宣言しておいて「ウソをつかない」というウソをついてしまった。つまりウソキチくんが言ったことは立派(?)な有言実行。そう、とうとうウソキチくんは正直者になってしまったのです。それ以来ウソキチくんはウソをつかなくなったそうな。

ま、この話も全部ウソですけどね。

ごめんなさい。残念ながらあなたはつい先ほど力尽きました。


と、そこに二つの門が現れます。

一つは天国に続く門で、もう一方は地獄に続く門。

それぞれの門の前には一人ずつ門番がいて、 片方の門番は本当のことしか言わない正直者。もう片方は嘘しか言わない嘘つき門番です。

あなたは一度だけどちらかに質問することが許されました。さあ、天国へ行くのにはどちらの門番にどのように尋ねたらいいのでしょうか?

ここまでのおさらい: 
1. 目の前に天国の門、地獄の門。(どちらがどちらかわからない)
2. 門の前には正直者の門番、嘘つきの門番。(これも外見では区別がつかない)
3. 質問は一回だけ。


 . . .






正解は、

どちらの門番でもいいので、『もう一人の門番は天国に続く門はどちらだと答えますか?』と尋ねる。


聞いた相手がもし天国の門番であれば、彼は正直に嘘つき門番が言うであろうことを答えます。嘘つき門番は嘘、つまり地獄の門のことを『天国の門だ』と言い張ります。なのでその逆を行けばいいのです。

逆に聞いた相手が地獄の門番であれば、彼は嘘をつくので単純にその逆を行けばいいのです。つまり、どちらに聞いてもこの質問の後、その逆を行けばいいだけです。



『嘘』。

嘘をつかない人間なんて存在しない。我々が日常的に使う『理性』や『空気を読む』こともある種の嘘である。人は嘘をつかずにはいられない。どうせ嘘つくなら誰かが悲しむ嘘ではなく、誰かが笑う嘘を。

そう。笑うには福来たる。

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『カリーのパラドックス』とは、大手カレーチェーン店CoCo壱◯屋、通称ココイチでバイトしているのにもかかわらず実はカレーより牛丼が好きなインド人留学生の話。


ではなく、

とある言葉の魔法に関しての話である。



『この文が正しければ、サンタクロースは実在する。』 


この文が本当かどうかAくんに証明してもらう。

A: いいか、この文が正しければ、サンタクロースは実在するんだ。
 
B: うん、だから証明してみてよ。

A: だから、この文が正しかったらサンタクロースは実在するんだって!

B: だから、それを証明してほしいんだって。

A: んー、よく聞けよ。この文がね、合っていたらね、サンタさんは実在するの!!

B: お前さっきから同じことしか言ってないじゃん。 

A:  . . . 



そう、多少のニュアンスは変わっても、結局同じような言葉でしか説明ができず、この文型を使えばどんな主張でも証明できてしまう、言わば魔法の文型なのである。

今年ももうじきクリスマスシーズン突入。この文型を使えばどんなことでも証明され、物事が透き通って見えてくるだろう。幼き頃、サンタさんの到来を心待ちにしていた誰かさんの瞳のように。

そう。サンタさんは実在する。



インド人もビックリ。
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